10告別式
最後のお別れに棺を開き生花を供える。顔の部分は見えるようにあけて次々と皆で生花を棺に入れていく。すすり泣く声が聞こえる。振りほどくように係りの方が棺に蓋をする。いよいよ出棺の時。男たちの手で棺を持ち抱え霊柩車まで運んだ。私は頭の部分で先頭に立つ、悲しいかな感慨深い思いなんて何もなかった、重い!、ここで落としてなるものか。この一念だけが頭を支配する。位牌と遺影を夫々一番近い血縁者が持ちタクシーに乗り込む。私はマイクロバスに乗り込んだ。誰かがまだ乗って居ないと声がする。後で聞いた話だが、孫の一人がトイレに閉じこもり号泣していたそうだ。身内の死というが初めての体験だったらしい。そういえば亡くなった義父には一番可愛がられていたと振り返った。タクシーとマイクロバスで火葬場へと向かった。